つらくて仕方がないときは vol.87

誰にでも「つらい気持ち」が押し寄せてくることがあります。


仕事や家庭、人間関係の中で、どうしようもない怒りや悲しみ、悔しい気持ちや不安などに襲われることがあります。

そんなとき、私たちは「なんとかしてこの苦しみから抜け出したい」「早く楽になりたい」と、その感情から離れようとしがちです。

映画を見たり、友達と話したりして気を紛らわせようとするかもしれませんし、趣味やスポーツに没頭して一時的に忘れようとするかもしれません。

それはそれで理にかなった行為です。

意識を辛いこと以外に向けることができれば、いっときその辛さを忘れることもできるでしょう。

ただそのつらい気持ちは心の中のどこかに居座り続けます。

逃れようとしても消えない


つらい気持ちは、私たちが「見ないふり」をしている間も心の奥に潜んでいます。

目をそらしても、それ自体が消えてなくなるわけではありません。

何十年もの間とどまり、ことあるたびに顔を出し、さまざまな出来事を通してその感情を思い出させようとします。

カウンセリングのセッションの中でクライアントさんが幼いころに受けた心の傷に触れる度に私はそのことを痛感します。

なぜならご本人も忘れていた何十年も前の心の傷は少しも和らぐことなく、傷ついたときと同じ強さでよみがえるからです。

例えば今60代の方が4歳の時に傷ついた感情が4歳の時に感じたのと同じ強さの感情に苛まれます。

意識を向けて受け止めない限り、その感情は衰えないばかりか、その方の人生に「生きづらさ」という形で影を落とすことになります。

つらい気持ちと向き合う大切さ


ですから、つらい時はできるだけ速やかにその気持ちと向き合うことをおすすめしています。

向き合うと言っても難しいことはありません。

「今、自分はこう感じている」と認め、心からその感情に共感することで、和らいでいきます。

繰り返し繰り返し共感すると、感情は気が済んだように消えてきます。

消えたとき、あなたはご自身の捉え方がすっかり変わっていることに気づきます。

ネガティブな感情が消えると、視野も広がります。

それまで見えていなかったことが見えるようになるのです。


傷つける人ほど傷ついている

以前「夫がモラハラで耐えられそうもない」と訴えてこられたクライアントさんがいました。

私はそのご主人は、過去に傷ついた経験が少なからずあるだろうなと感じたのですが、奥様にそのことを話してもピンとこないご様子で、「自分の方が被害者です」と言っていました。

それは確かにその通りなので、とにかくその方の感情を和らげることに集中しました。

するとあるとき、「夫の心の中でどんなことが起こっているのかがわかるような気がしました。夫はつらいんですね」と、そのクライアントさんが言ったのです。

ご主人は私のクライアントではなかったので、過去ご主人に何があったのか私が知ることはありませんでしたが、ご主人への捉え方が変わったことで、おふたりは円満夫婦に
変わっていかれました。

自分の気持ちが変わることで、相手のことがよく見えるようになることは本当によくあることです。

あなたも今つらいなら、ぜひ気持ちを受け止め、共感して和らげてみられることをお勧めします。

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