カサンドラ症候群とは、パートナーや家族など身近な人に自閉スペクトラム症(ASD)などの発達障がいがあり、コミュニケーションや人間関係を築くことが難しくて、不安障害や偏頭痛、無気力、疲労感、自己肯定感の低下など、心身にさまざまな状態が出ている状態のことを言います。
「自分の気持ちをわかってもらえない」と感じて、孤独や不安の中で暮らしている方が私の元へカウンセリングを受けにきてくださっています。
カサンドラ症候群の悩み
「自分の気持ちを理解してもらえない」「共感してもらえない」と感じるとき、誰もが「虚しい」と感じます。
そんなことが度重なると、「もう耐えられない」と感じても当然かなと思います。
例えば自分は寂しいのに、パートナーにその気持ちを伝えても分かってもらえず「我慢するしかない」としたら、「何のために一緒にいるの?」と思うのも当然のことではないでしょうか。
不満や孤独感がどんどん膨らんで、パートナーとの距離が一層広がるように感じることでしょう。
愛する相手から期待した反応が返ってこないことは、自己肯定感を下げ、一緒にいることの価値を見出せなくなるのも無理はないことです。
傷ついた心を癒す
まずはこれまで応えてもらえなくて寂しかった感情を、癒すことが先決です。
「辛かったね〜」「寂しいかったね〜」「分かってもらいたかったね〜」と、カラダがすっかり緩むまで自己受容を繰り返し、癒してあげてください。
これができると、誰もが間違いなく元気になります。
将来に希望が見出せるようになります。
ですからとにもかくにも、まずは傷ついた心を癒し、満たされない心を自分で満たせるようになることがとても大切です。
理想の関係をイメージする
それができたら、自分が理想とする関係がどんな関係なのかをできるだけ具体的にイメージすることが大切です。
まずは「自分はどうされることが嬉しいのか」「どうして欲しいのか」を自分自身に問いかけてみましょう。
なぜなら自閉スペクトラム症の方は一般的に察するのが難しいので、明確にイメージしてそれを「こんな時はこうしてほしい」と、できるだけ具体的に伝える必要があるのです。
例えば
「もっと話を聞いてほしい」
「一緒に時間を過ごしてほしい」
といった要望もいちいち伝える必要があります。
また「こうしてほしい」と言うだけではなく、「あなたがこうしてくれると私はとても安心する」という形で、パートナーが相手のために「やってあげよう」と思える形で伝える工夫も必要です。
そうしているうちに、パターンとしてどんな時にどんな風に接すればあなたが喜ぶのかをパートナーが掴めるようになっていきます。
我慢しない関係で得られる本当の幸せ
なぜ自分の理想を追求することが大切なのでしょうか?
それは、我慢しないでありのままでいられる関係になることこそが、本当の幸せに繋がるからです。
それは何十年という月日があるからこそできていく関係です。
逆に言うと、ここまでの関係を夫婦以外で築くことは難しいと感じるほどです。
それほど価値のある関係です。
それほど、どんな労力も惜しまずにかけて余りある関係です。
お互いが本当の意味で安心できる関係です。
そのためには自分が求めていることを諦めずに伝え続け、相手に受け入れてもらえるまで時間をかけることが必要です。
一つ一つ受け入れてもらえるたびに、自分自身は満たされ、相手に対する感謝の思いがふつふつと自然と湧き出します。
どこまでも理想を追求するってわがままなんじゃないの?
このように言うと、クライアントさんから「それはわがままなんじゃないですか?」「自分のために相手を利用しているじゃないですか?」と言われることがあります。
実際にやってみるとそうではないことが分かります。
潜在意識は自分と他人を区別しないという真実が見えてきます。
あなたとパートナーは分かれているように見えているだけで、実は分かれていないことが実感として感じられてきます。
相手の気持ちが手に取るように分かったり、「今相手はこうしてほしいだろうなあ」と分かったりするのです。
あたかも相手が自分の大切な一部であるかのようなそんな感覚です。
時間はある
これはカサンドラ症候群で悩んでいる方だけでなく、どんな夫婦にも当てはまることです。
ですがカサンドラ症候群の方には特に「あきらめなくていい」ということを知っていただきたいです。
時間はあります。
どこまでも諦めず、我慢しない関係を目指していくことができます。
丁寧にパートナーとのコミュニケーションを重ねていきましょう。
そうすることで、パートナーはかけがえのない存在になっていくのです。
それは同時にパートナーのためになることです。
ふたりでいることが心から安心できる日が訪れます。
最初は勇気がいるかもしれません。
粘り強さも必要です。
ですがその後でこの上ない幸福が待っていることを忘れないでいただけたらと思います。