夫への期待をあきらめたらラクになれますか?
というご質問をいただきました。
【ラクになる】というゴール
クライアントさんのコトバを字義通りに図式化してみると
あきらめる(手段)→ ラクになる(ゴール)
ということになります。
そしてラクになるというゴールを具体的にお聴きしたところ、
- ショックを受けずに済む
- 期待外れにがっかりしないで済む
- 悲しくならないで済む
ということでした・・・
そのゴールは達成できない
そして、「諦めてもラクにはなりません」とお伝えしました。
なぜならショックや悲しみなどの感情は、自分の意思とかかわりなく自動的に湧いてくる反応だからです。
何千分の1秒というものすごいスピードで起こる反応なので、理性を使って諦めようとしても、コントロールが効かないのです。
感情は理性で誤魔化すこともできません。
「あきらめよう」
「期待しないでおこう」
とどんなに自分に言い聞かせても、ショックや悲しみは湧いてきます。
ですが、別の方法でショックを受けずに済む方法が2つあります。
ショックを受けずに済む2つの方法
一つはショックの原因を取り除く方法です。
ショックの原因を取り除く、あるいは書き換えると、
相手の同じ言動に接しても、悲しいと感じなくなります。
そしてもう一つは相手に頼む方法です。
つまりショックを受けるような言動を止めてもらう、別の言動に変えてもらう方法もあります。
この記事では、「相手に頼む方法」について詳しくお伝えします。
ですが、気になるでしょうから、一つ目のショックの原因を取り除く方法についても少しだけ触れたいと思います。
ショックの原因を書き換える
大抵の場合、ショックの原因は相手(ここでは夫)のコトバや行動にあると捉えます。
ですが、夫の言動はショックの原因ではなくきっかけにすぎません。
じゃあ原因は何かというと、自分の中にある思い込みや信念です。
例えば
自分を愛してくれているなら、自分を大事にしてくれる
大事にしてくれる = 忙しくしている私を手伝ってくれる
というような信念・思い込みがあると、
私が忙しくしているのに手伝ってくれない
↓
愛されていない、大事にされていない
↓
ショック
ということになります。
このような思い込みや信念は、大抵は自覚されていません。
思い込み・信念は進んで持つようになったものではなく、幼いときから両親や祖父母、先生やテレビなどを通して気づかないうちに埋め込まれたのです。
そんな無意識の領域にある思い込みを突き止め、手放したり書き換えたりすることができれば、相手がそれまでと同じコトバを言い、同じ行動をとっても悲しくなることもなければ、ショックも受けずに済むようになります。
カウンセリングでは、この思い込みを手放していただくこともやっています。
ですが、「今忙しいから手伝って」
「食べたものを一緒にキッチンに下げてくれない?」
と、ショックを受ける前に頼んでしまえば、あなたはショック受けずに済むだけでなく、夫の理解も得られるし、もっと楽しい夫婦関係になるかもしれません。
相手に頼む
ここからはショックを受けずに済む2つ目の方法、
【相手に頼む】ことで言動を変えてもらう方法についてお伝えしていきます。
実際に【相手に頼む】ことは、いちばんの近道です。
解決が早いです。
ところが、ほとんどの方が頼むことをしません。
「そのうちに気づいてくれる」と思っていた。
「こんなに必死でやっているのに、全然気づいてくれない」
と、【頼むこと】なんてまるで眼中にないようです。
「頼んでみてはどうですか?」とお聞きしても、
非常に強い抵抗を感じていることがわかります。
実は私もそうでした(汗)
なぜそういう人が多いのでしょうか?
頼まない理由
ひとつには、私たちは頼むことに慣れていません。
一人でやれること = いいこと
という思い込みが根強くあります。
人に迷惑をかけてはならない
自分ひとりでできることは自分でしなければならない
というコトバを成長する過程で散々聞かされてきたんですね。
ですから、頼むこと = 悪 という思い込みが根づいているのです。
実はこれらの思い込みは変えた方が夫婦生活は断然楽しくなります。
自分が頼むようになって気づいたのですが、頼むことは自分がラクになるだけじゃなく、相互理解をグッと深めます。
何を頼むか
「何を頼めばいいですか?」と聞かれることがありますが、それはあなたが諦めようとしていることを頼むといいです。
「例えば、作った夕食を食卓まで運んでくれたら助かるのに…」と思ったら、
「これを食卓まで運んでちょうだい」と頼めばいいのです。
食卓まで運んでくれたら、「ありがとう、本当に助かった」と言えばいいのです。
頼む前に確認すること
ただ、頼む前に確認した方がいいことが1つだけあります。
それはあなたの心の状態が平和かどうかです。
「どうして運んでくれないの!!」
「そのくらい気づいてやってよ!!全くもう」
という気持ちでは、まず相手に受け入れてもらえません。
上から目線で頼むとパートナーはカチンとくるでしょう。
あくまでもやってくれたら嬉しいという心持ちのときにやってみてください。
頼みたいことは次々に出てくる
頼みたいことは無数にあります。
頼み始めると、限りなく出てきます。
それでいいんです。
これまで頼み事をすることなく生活してきた方がどうかしていた、と感じるようになります。
頼み事をするたびに深まる理解
頼み事をすればするほど、
相手はあなたが望んでいることを理解するようになります。
「そうか、食卓まで運ぶと喜ぶんだな、こんなことで喜ぶんだ」
「食器を洗ったら感動するんだ〜」
と理解することになるのです。
えっ、そんなことも気づいていなかったの!と感じられるかもしれませんが、
日常生活に溶け込んで当たり前になっていることは、もう無意識の領域に入っているので気づかないものなのです。
上手に頼むコツ
相手に上手に頼めるようになるには、
自分はどうしたいのか、相手にどうしてもらいたいのかを紙に書き出し、具体的にコトバにしておくといいです。
というのは、
「なんで気づいてくれないの!!」
「どうしてやってくれないの!!」
と感じているときに頼むのは反発を買うだけですし、
「なんで気づいてくれないの?」と言っても、相手は具体的に何をしてよいかわからないからです。
ただ怒りをぶつけられた、という印象しか残りません。
前もって紙に書き出し、コトバにしておくと、いざというとき具体的に伝えられます。
「フキンを渡すから、テーブルを拭いてちょうだい」
「今手が離せないから、花に水をやってもらえると嬉しい」
「今日はゴミが重いから出しに行ってもらいたい」
という具合にです。
頼むことの上級編
慣れてきたら、もっと難しい頼み事もしていくといいです。
それはじっくりと自分に聴いてみないと自分でもまだ気づいていない頼み事かもしれません。
自分はどんな人生を歩んでいきたいのか、
パートナーとはどのようにかかわっていきたいのか、
というような人生のゴールともいえる自分の願い、欲求・ニーズです。
願いや欲求、ニーズが満たされていないとき、イライラや不安などの苦しい感情は湧いてきます。
感情は「満たされていない願いや欲求・ニーズがあなたの中にあるよ」と教えてくれているのです。
ですから悔しい気持ち、悲しい気持ちが湧いてきていたら、
自分は本当はどうしたいのか、
相手にどうしてもらいたいのかを
ぜひ探ってあげてください。
すると、自己理解が深まり、自己肯定感が上がってきますし、その思いを相手に伝えられると関係はどんどん深みを増していきます。
「漠然と思っているだけ」を卒業する
望んでいること、必要なこと、欲求、ニーズは明確にコトバにするだけで、いろいろなことが片付いていきます。
コトバにすることは本当に偉大です。
「どうして手伝ってくれないんだろう」
「こんなに大変な思いをしているのに、なぜ察してくれないんだろう」
と繰り返し考えても、それは頭の中の不毛なおしゃべりにすぎません。
どこにも辿り着けない思考です。
ところが自分の願い、欲求をコトバにしてはっきりさせると、不毛なおしゃべりは止まり、それを実現するための思考に切り替わります。
明確に「こうしたい」「こうして欲しい」とわかることはすごいことです。
「じゃあどうすればそれが実現できるのか」と考えるようになります。
いい知恵も浮かんできます。
頼むのが当たり前なあなたに
そしてあるときあなたは、何の抵抗もなく夫に頼んでいる自分を発見します。
次から次へと頼んでいるうちに、お互いへの理解はさらに深まっていきます。
そう、あなたが寂しかった原因、それは頼むことがなかっただけのことだったかもしれません。
ここからあなたとご主人はもっともっといい関係になれます。
あきらめる必要なんてどこにもなかったことが明らかになります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。