トラウマを卒業する方法その1 vol.19

過去のできごとは今目の前にあるわけではない。なのになぜフラッシュバックなどのトラウマの状態が起こるのか、その仕組みとそこからの脱出方法についてお伝えします。

目次

トラウマとは

トラウマとは過去に受けた精神的苦痛が、今のネガティブな反応を引き起こしている状態を言います。

過去のできごとは、今起こっているわけではありません。

ではそのできごとはどこにあるのでしょうか?

それは私たちのイメージの中にあります。

例えば昨日の晩ご飯は、今目の前にあるわけではないけれど、自分の記憶のイメージの中にあります。

もしあなたの昨晩の夕食があなたの大好きなハンバーグだったら、それはどんなイメージをあなたにもたらすでしょうか?

ハンバーグとその横につけあわされている彩りのよい野菜のイメージでしょうか。

それともハンバーグにたっぷりときのこソースがかかっているイメージでしょうか。

真っ白い湯気が立ったご飯は隣にあるでしょうか。

鉄板の上にのったハンバーグが、まだジュージュー音を立てているイメージかもしれません。

イメージは視覚情報だけではありません。

鉄板にのったハンバーグから出る音も、そこから出る食欲をそそる匂いも、イメージには含まれます。

それらのイメージはあなたにどんな反応をもたらすでしょうか。

よだれが出るでしょうか。

温かい気持ちにさせてくれるでしょうか。

『美味しかったな〜』

『また近いうちにハンバーグにしようかな』

『家族みんなが美味しそうに食べていたな』

『あっという間になくなったな』

『よし、今日も美味しい晩ご飯を作るぞ』とやる気を起こさせてくれるかもしれません。

そう、昨日の晩ご飯はイメージの中に確かに存在しています。

そしてそのイメージがあなたに何らかの反応を起こさせているのです。

イメージの中の存在があなたを苦しめる理由

イメージの中にしかないできごとも、リアルのできごとと変わらない反応を呼び起こすのは、ハンバーグの例でもわかるように、珍しいことではありません。

梅干しを見れば、よだれが口の中に湧いてきますが、トラウマになるようなできごとを思い出して苦しくなるのも、この梅干しの反応と同じです。

梅干しを食べた体験が【よだれが出る】という反応を引き起こしているのです。

その体験が【梅干し=酸っぱいもの】という公式を潜在意識の中に作り上げ、その公式の存在がよだれを出させているのです。

トラウマになる体験と他の体験との違い

ではハンバーグの夕食や梅干しを食べることと、トラウマになるようなできごととの違いはなんだろうか。

それはハンバーグの夕食や梅干しを食べたことは3日もしないうちに忘れ去られるのですが、トラウマになる体験は忘れられず、繰り返し思い出す、ということ点です。

思い出しては苦しみ、また思い出しては苦しくなる、ということが起こっています。

なぜ思い出してしまうのでしょうか。

それは【思い出す必要がある】【忘れてはならない】とあなたの潜在意識が判断しているからです。

できごとを忘れられない理由

ハンバーグの夕食と、トラウマになるできごととの違い。

それは潜在意識にとって、想定内のできごとか極めて想定外のできごとかの違いと言えます。

トラウマになるできごとは、極めて想定外のできごとなのです。

それは潜在意識にとっては絶対に見過ごせない記憶なのです。

言い方を変えると、それまであった潜在意識の公式には当てはまらないできごと、ということもできます。

潜在意識の中の構造

潜在意識には無数のA=B, あるいはA→B(AならばB)が存在しています。

前述の例で言うと、梅干し=酸っぱいもの、というA=Bがあります。

また夕食がハンバーグ=よくあること、というA=Bもあるかもしれません。

ところが、トラウマになるような事件は潜在意識の公式から大幅に逸脱しているのです。

公式に当てはまらないできごと

例えば私の例でお伝えすると、先日、ダンスの発表会がありました。

今年の発表会は山あり谷ありで、終わった今でも、『よく出られたな』と感じられるほどでした。

というのも、右足の外くるぶしの痛みとぎっくり腰で3回も立て続けに練習を休む羽目になったからです。

すでに発表会には出ることになっていたので、私は仲間に迷惑をかけまいと、練習風景を録画した動画を繰り返し視聴してフリを頭に叩き込み、足が動かせないなら腕だけでも、と動かせる体の部位を限定した練習を行いました。

今思い返してみても、直前の2回の練習だけでどうにか追いついて当日を迎え、無事に踊ることができただけでも、自分を褒めてやりたいという気になります。

ところが発表会後のレッスンで、私は同僚がインストラクターに褒められているのを聞き、自分もあれだけ頑張ったのだから、何か言ってもらえると期待していたことに気づきました。

インストラクターはただ私の体を気遣っただけで、当日の私のパフォーマンスについて触れることがなかったことが正直残念に感じました。

(今から思うと、迷惑をおかけしたのはコチラなのに、虫のいい話です💦)

『ひと言くらい言ってくれてもいいのに』といささかがっかりしている自分に気づき、自分の中に承認欲求がいまだあることがわかり、『いい歳をして大人気ない』と感じました。

インストラクターに自分の頑張りを認めてもらえなかったことは、帰りの道すがらも思い出し、

『やっぱり自分は上手く踊れていなかったのだろうか』

『あんなに頑張ったのに』などと考え、承認欲求が満たされなかったことにこだわっている自分をその後も、幾度となく発見する羽目になりました。

潜在意識の中の公式を突き止める

そこで私は、潜在意識にある公式を突き止めてみました。

そこには、

頑張った→認められて当たり前

という公式が居座っていることがわかりました。

振り返って考えてみると確かに幼い頃は、何をやってもやったことを認めてもらうことが大事でした。

特に勉強していい成績をとると、両親は褒めてくれたことを思い出しました。

だからいつの間にかそのような公式ができあがり、「褒められる度に強固になっていったのも当然のことかもしれない」と感じました。

今回、不調続き、アクシデント続きの中、諦めることなくできる限りのことをして発表会に臨んだのに、ひと言も認められることがなかったことで、私にとっては極めて想定外の、A=Bに当てはまらない事態だったのだと分かりました。

潜在意識はそれを受け入れがたいものとして、顕在意識に何度も知らせてきたのです。

そしてその度に私は認めてもらえなかった悔しさや悲しみを感じる羽目になりました。

トラウマも同じ原理だと私は捉えています。

潜在意識が受け入れられないものは忘れさせてもらえず、何度も思い出すハメになるのです。

トラウマはそれがもっともっと強烈な状態だと言えます。

そこにどのような公式があるのかはケースバイケースですが、

そんなことが私の人生にあってはならない、

あったことを認めたくない、

という潜在意識がその体験を拒否している状態が見て取れます。

公式を書き換えれば苦しみは消える

頑張ったこと=認められて当然・認められなければならない

という公式があることで、頑張った私の中に承認欲求が湧き出しました。

それは、梅干し=酸っぱいものという公式があることで、梅干しを見たらよだれが出るのと同じ原理です。

そして承認欲求が満たされないことで、苦しむことになりました。

では私はインストラクターに認められるために頑張ったのだろうか。

そもそも私は何のために頑張ったのだろうか。

と自問すると、答えはすぐに明らかになりました。

私は仲間と一緒にステージの上で音楽に合わせて美しく、そして楽しく踊りたかったのです。

そこにたどり着いたとき、私は「認められるかどうかなんて、どうでもいいことだった」と腑に落ちました。

私は踊りながら踊っている自分を満喫しました。

本当に楽しかった。頑張った目的は十二分に果たされていました。

潜在意識の中の公式は真意ではなかった

潜在意識の中の公式は、【思い込み・信じ込み】と言われています。

本人も自覚していないうちに思い込まされ、信じ込まされてきたもの、ということもできます。

だからそれは自分の中にあるのに、今の真意とは程遠いことが多いのです。

真意ではない思い込みのせいで私たちは苦しくなっています。

日々の思考までもが影響を受けています。

ぜひ、このことを噛み締めてみてください。

今回、インストラクターに認めてもらえなかったことで、そんなことは全く重要ではなかったのに、

『なぜあの人は認められて私は認めてもらえなかったのだろう』

『私の何がいけなかったのだろう』などと考えてしまいました。

ではどうすればそこから抜け出せるのでしょう。

A=BをA=Cに書き換える

私は改めて、

【頑張ったこと=認められる必要のないこと】

【頑張る目的が達成されればそれでOK】と確認しました。

つまり、A=BをA=Cに書き換えました。

認められなかったからと言って、頑張ったことが消えるわけでも無駄になるわけでもない、と改めて自分に確認しました。

そうすることで同じようなことが起こっても、今後は不快になることはないと思います。

(もし不快になることがあったら、また、書き換えることをやり直せばいいだけです)

潜在意識の中の公式を書き換えることは、生活から不快を減らしてくれます。

トラウマも同様にやってみてください

トラウマはもっともっと強烈な痛みでしょう。

ですが、公式を書き換えて対処できない、ということはありません。

苦しいとき、そこにはどんなA=Bがあるだろう。

あるいはどんなA→B(AならばB)という公式があるだろう。

と、突き止めてみていただけたらと思います。

そして突き止めることができたら、それは本当かなあ?と自問してください。

そして別の公式、A=Cにする可能性がないか探ってみてください。

もともと【こうでなければならない】なんてことは、この世の中にほとんどないのです。

何でもありの世の中です。

ぜひ、そんな風に捉えられるA=Cを探してみていただけたらと思います。

ご健闘を心よりお祈りしています。

最後にもう一度、トラウマは何かの出来事が起こったことで始まったことと思いますが、今その出来事が起こっているわけではありません。

それはイメージの世界だけの問題です。

そのこともう一度確認してこの記事を終わりにしたいと思います。

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お申し込みを心よりお待ちしております。

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