「あの時のキズ」に出会う意味 vol.106

人はときに「なんでこんな目に遭わなきゃなんないの!!」と思うような出来事に遭遇します。

まさかこんなことが自分の身に起こるなんて。

どうあがいても取り返せない!!

もう元には戻れない!!

苦しい感情が渦巻き、立っているのもやっとのことで、心臓がバクバクするような、そんな出来事に襲われることがあります。

何度気を取り直しても気分は沈み、涙が溢れます。

どんなに苦しくても職場や子どもの前では何事もなかったかのように振る舞い、やるべきことをこなしていく。

そんな窮地に陥ることが私にもありました。

そして今はそのような思いをしているクライアントさんのお話をお聴きする日々です。


そんな中カウンセリングの間に今クライアントさんが抱いているその感情が、今回の出来事で
生まれたわけではないとわかることがあります。

クライアントさんの

「無力感」
「絶望感」
「わかってもらえない」
「受け入れてもらえない」


などの気持ちが、小さいころにも感じた似たような気持ちにたどりつくことがあるのです。

それは、幼少期、小学生のころや中学生のころ、あるいは20代の前半くらいまでに感じた感情のことが多いです。


もうすっかり忘れていた、もしくは思い出したくもなくて記憶の奥底に封じ込めたキズついた記憶そして感情。

親に本当の気持ちを話しても、何度も無視された

妹や弟だけが可愛がられていた

「あなたが生まれたせいでお父さんと暮らすしかなかった」と言われたなどなど。

何気なく言われたひと言にものすごいショックを受けたり、とんでもなく怖い思いをした。

消えてしまいたいほどの恥ずかしさ。


その時、クライアントさんは幼いながらも無意識のうちに決めました。

「どうせ言ってもムダだから本音を言うのはやめよう」

「わかってもらえないから、苦しくても感じないようにしよう」

そう無意識に決めた瞬間がありました。

それはあなたがもうそれ以上キズつかないようにするためでした。

安全に生きていくために必要なことだったのです。

その「決めごと」は、ずっと心の奥にあり続け、大人になってからの考え方や行動に、影響を与え続けました。

本当のことを言いたくても言えなかったり、無意識に気持ちを封じ込め、自分がどうしたいのかが分からなくなってしまったりすることがあります。

今起きているネガティブな出来事は、もしかするとその「決めごと」に気づき手放すために起こっている、ということがあるようです。

なぜそんなことが起きるのでしょう?

それは、遠い昔の決め事を、手放すのが本来の姿だとクライアントさんの生命が知っているからなのではないかと私は感じます。


昔はそうせずには生きられなかった、でも今のあなたはもうその制限を外して自由に生きる方がいいと知っている、だから起こっている、そんなことが確かにあるように感じるのです。



カウンセリングの中でクライアントさんが遠い昔の感情にふれ、長い間背負ってきた重たい荷物をおろせたような、そんな瞬間が訪れます。

それは本当に貴重なプロセスです。

遠い昔キズついた感情に出会うことは、その時の自分を癒すチャンスであり、決め事を手放すことは、大きな自由を手に入れることです。

それはときに過酷な出来事として現れますが、心の奥にあった昔の気持ちに光を当てるとき、
あなたは間違いなくもっともっと自由になっています。

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