人間関係を克服するために私がクライアントにしていることをお伝えします。
充分に体験すること
対人関係がうまくいかないとお悩みの場合、それが夫婦間でも、上司や部下との関係でも、親子関係でも、うまくいかなかった体験に心を開き、そこからできるだけ多くの情報を受け取ることが大切です。
ひとつのつらい体験を充分に体験し尽くすことができれば、本や人の話からは得られない非常に貴重な情報が得られます。
ところが体験がつらいだけに、多くの人はその体験から目を背け、「忘れよう」、「考えないようにしよう」と思いがち。
そこから何かを得ようとするよりむしろフタをして体験を封じ込めてしまがちです。
カウンセリングの役割はそのような点にもあると私は考えています。
つらい体験を卒業するために必要なこと
つらい体験を卒業するためには、その体験に心を開き、その出来事が自分にどのような作用をもたらしたかを存分に確認する必要があります。
セッションとは体験したことを探索する時間
ところがつらい体験は誰もが思い出したくないのが普通です。
ですからつらい体験を繰り返し探索した経験がある者が、一緒にクライアントの体験を探索していくわけです。
その体験をしてクライアントはどう感じたのか、
なぜそう感じることになったのかを探索する時間、それがセッションです。
そうお伝えすると、「またつらい思いをするのはごめんだ」と思われるかも知れませんが、実際には全く逆のことが起こります。
体験を注意深く探索することで感情は和らぎ、解放感が得られます。
探索が必要な理由
例えばつらい感情は満たされない何かがあって生まれてきます。
つらい感情を想起することで、あなたは本当はどうしたかったのか、相手にどうしてもらいたかったのかを知ることができます。
「私は本当はこうしたかったんだ」
「相手にはこうしてもらいたかったんだ」
とわかるだけで、感情は緩んでラクになります。
そして解放感も得られます。
何をどうしたかったのかがわかることで感じられる解放感です。
自分がどうしたいかが分からない状態のままだと、体験がただつらいだけのものと感じられ、それを思い出すとき、いつも同じ感情に襲われることになります。
思考は過去に向かい、そこにとどまり続けます。
ところが感情の奥にある自分はどうしたかったのかが明確に分かると、人はその意向に沿って動きたくなるのです。
そこに人は、自分の意思と切り拓いていく自由、解放感があります。
自分がどうしたいかを知ることはあなたが自由に生きるために必要なことなのです。
感情はその感情を感じたときの思考を思い出させてくれる
感情は、感情が湧き出したときの思考を思い出させてくれます。
私たちの思考の大部分は、無意識で働いているので、何を考えていたかを思い出そうとしてもなかなか思い出せるものではありませんが、
感情を思い出すことができれば、その感情の引き金を引いた思考が記憶に浮かび上がってきます。
思考が思い出せると、そこにあった自分の意図や思いを確認することができますし、その思考が単なる思い過ごしではなかったか、偏ったものでなかったかも確かめることもできます。
実際にそのとき考えていたことを思い起こしてみると、そこには深い思いがあったり、その思いが独りよがりだったり、勝手に憶測していたことにも気づけるのです。
つらい体験があったとき、自分の内側でどのようなことが起こっていたのかを探索すると、それだけで癒される感覚が得られることもしばしばです。
過去のできごとは自分の内側にある
つまり、体験したことを探索していくことは、できごとそのものを思い出す作業ではなく、できごとによって自分自身の中に起きた作用をつぶさに見ていくことなのです。
それは「あの人があのときこう言った」というようなできごとの事実関係を確認するのとは違います。
慣れるまではこの作業をおひとりで行うのは難しいかと思います。
カウンセラーがガイドすることで、あなたは怖れや不安を抱くことなく十分に探索し、心の中に起こったできごとをつぶさに見ていくことが可能になります。
体験を探索するメリット
体験を探索するメリットは計りしません。
まず何よりも、それ以上同じつらい体験をしなくなります。
仮に同じようなことが起こっても、そこから得られるものを全て吸収し、その体験を卒業しているので、同じように辛く感じることはなくなります。
体験を対策することで、一歩も二歩も離れて、同じような体験を感じることになります。
角度を変えてみると、私たちはある型にはまって不自由だったからそのつらい体験をする羽目になった、ということもできます。
つらい体験はよ〜くみると、私たちにはまっている枠の存在を教えてくれるものです。
セッションとはその体験を探索して紐解き、自分にはまっていた枠を外し、その体験を卒業していく過程を踏む時間、ということができるのです。